エナメルの形成は歯の発生の一過程である。発生途上の歯を顕微鏡で見たとき、エナメル器、歯堤、歯乳頭等として知られる細胞の集まりを確認することが出来る。一般的に歯の発生段階は、蕾状期、帽状期、鐘状期となる。エナメル質の形成は鐘状期の後期から行われる。
エナメル質の形成はエナメル芽細胞から象牙質の形成開始後に始まる。人間のエナメル質は妊娠三~四月の時から、切端、咬頭の側から順に、一日あたり4マイクロメートルずつ成長していく。
全ての人間のプロセス同様、エナメル質の生成も複雑であるが、一般的に二つの段階に分けられる。分泌相と呼ばれる第一段階は、タンパク質や部分的に石灰化した有機質を含んでおり、有機質の分泌と成長の進行を行っている。成熟相と呼ばれる第二段階は厚さの成長が止まってから完全に成熟までの期間で、主にエナメル質の石灰化が進行する。
分泌相ではエナメル芽細胞は極性を持つ円柱状の細胞である。この細胞の粗面小胞体では、エナメルタンパクが周囲に産出し、エナメル質基質がアルカリフォスファターゼ酵素により部分的に石灰化するのに寄与している。
この第一層が形成されると、エナメル芽細胞は象牙質から離れ、先端部にトームス突起が形成される。エナメル質の形成は隣接したエナメル芽細胞で続けられ、その結果トームス突起を保護するように、壁に囲まれたくぼみができる。また、トームス突起の縁でもエナメル質が形成され、くぼみの中にエナメル母体が析出する。 くぼみのエナメル母体は棒状になり、くぼみを囲む芽細胞の壁も最終的に棒同士を繋ぐエナメルになる。棒状のエナメル質と棒同士を繋ぐエナメル質は、カルシウム結晶の方向だけが異なる。
成熟相では、エナメル芽細胞がエナメルの形成に必要な物質を運ぶ。組織学的にいって最も注目すべきは、エナメル芽細胞が縦に筋を作りはじめるという点である。これによって、エナメル芽細胞が分泌期のような増殖をやめて運搬機能を発揮しはじめたということが分かる。ここで運搬される物質は、石灰化の最終段階に使われるタンパク質がほとんどである。主なものにアメロゲニン、アメロブラスチン、エナメリン、タフテリンなどがある。成熟期において、アメロゲニンとアメロブラスチンは使用された後に除去され、エナメリンとタフテリンだけが残る。成熟期の終わりとともに、エナメルの石灰化は完了する。
成熟期が終わり、歯が口腔内に萌出する前にエナメル芽細胞は無くなる。このため、エナメル質は体の多くの組織と異なり、再生する手段がない。う蝕や外傷などによるエナメル質の欠損の後、体も歯科医師もエナメル質を回復することが出来ない。また、エナメル質は非病理学的な過程に影響されることがある。喫煙やコーヒー、茶などに長期的にふれることにより変色する。エナメル質のみでなく象牙質もであるが、硬化していく。その結果、年をとるほど、歯の色が暗くなっていく。さらに、流動体の浸透性が低下し、酸に解けにくくなり、水分の含有量が減少する。
乳歯と永久歯におけるエナメル質の違い
乳歯、永久歯ともにエナメル質の結晶はハイドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2を最小単位として形成されるが、乳歯のエナメル質は永久歯のものに比べ厚さが永久歯より1/2と薄く、結晶粒子が小さく、また含水量が多く(乳歯2.8%、永久歯2.3%)、硬度が低い。化学反応性が大きく、脱灰の影響を受けてのう蝕や、フッ化物による歯質強化を受けやすい。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
エナメル質は生体で最も硬い硬組織と言われています。
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